あるとき,生協Aでコーラを買おうとしたら,いつもの棚にない. 冷やしたのは別のところでは売っている.冷やしたのは通常 冷やしてないのより高いから,今すぐ飲むのでない以上,高いの 買う必要はない*.そこで店員にいつもここに置いてあるコーラは ないのか,とかいうことを手振り身振りで聞いたいたが,通じない. そこに日本語ベラベラの若者が助け舟を出してくれた.
日本語は完璧で,最初中国語が達者な日本人かと思ったが, そうではないことがわかった.その後いろいろ話していて, メアドなど交換し,ある日, 夕飯でも一緒にということになった.
彼は最初北京ダックの店でも小生を連れて行こうと思っていたらしい. 出かける際に,宿舎と玉泉路を挟んでほぼ真向かいにある羊蝎子と 看板に書いてある店のことを話した.

あの看板の羊蝎子とはなにか知ってるかと 訊いたたのである.看板には蝎王府とも書いてある. 蝎は最初読めず,意味も解らなかったが, 蝎,蝎子ともサソリのことらしい(発音はいまも知らない). 日本では蠍の字を当てるが,違いはあるのだろうか. 蝎王府とはサソリの殿堂とでも言う感じか. どうもレストランのようだが...
2011年のICRCのときに王府井の横丁では生きたサソリを
串刺しにして,蠢(ウゴメ)くまま立てかけて売っていた.
果たしてそんなサソリと羊がどう関係しているのか?
こちらは,以前気になり,ガイドブックで調べて
知っていた:
北京名物の1つで,羊の背骨の所の肉(スペアリブ?)の断面をみると,
サソリが爪を広げているように見えることが由来,だそうだ.
研究室の学生数人中で,このことを知っていたのは1人だけ.はたして,
殷君も知らなかった.そこで講釈をたれたら,それではそこに行こうと
なった.

注文する段になって,値段が空港-高能研の片道ないし往復のタクシー代 (片道: 高速料金10元込みで,150元前後) くらいするとわかって, ビビり,単純な羊肉の“しゃぶしゃぶ’に変更.羊の肉は癖がなく 結構いける.
彼の名前は殷 文(Inn Wen), 小学校は日本で通ったそうで,完全なネーティブ日本語 が話せる訳がわかった.大学に進学するときに理系に進むにも 文系の試験があり,中国古典などになじみが薄い身には不利と思い, 英語の試験で切り抜けられる日本留学(東北大学?)の道を選んだらしい. 現在ポスドクの身分であるが,日本と中国を行き来して 高能研の理論部にいるとのこと.純粋理論できたが,今は現象論 に関係した話題にも取り組んでいること.KEKやIPMUにもよく 顔を出すとのことである.実験のことはよく分からないないので 教えてくれ,とか言われた.
今取り組んでいるのは高エネルギーニュートリノと暗黒物質 の相互作用で,GZKニュートリノがIceCubeで観測されなくても p + 3Kの相互作用でGZKカットオフができることとは矛盾 がない可能性,を示そうということらしい.こちらは,IceCubeでの “宇宙起源ニュートリ”観測の背景にチャーム起源の大気ニュートリノが どれくらい効くかを計算したりしていたが,素人には思いつかない ずっとファンタスティックなことを理論屋さんはやる.
論文が できたら,送ってくれと言っておいた.
(*) 後日わかったことであるが,生協Aでは冷やしコーラもそうでないのと 同じ値段であった.